愛しのエリー【ホラー短編】
『エリー…そこ、にぃる…のぉ?』
紗希は、自分と先生を見下ろすその姿に息を飲んだ。
まるで、すべてが止まってしまったかのように、動くことができない。
幽霊の目は空洞のようにぽっかりと穴があき、その奥が黒く怪しく光っている。
『え、リー…』
幽霊が何か言う度に、空気がひんやりとする。
あぶら汗が額ににじむ。
「あ…」
紗希は言葉にならなかった。
動いて、逃げなきゃ。
わかっているのに、震える足を動かすなんてできない。
その呪縛は、再び航平によって解かれた。