愛しのエリー【ホラー短編】
「千堂、走るぞ…!!」
グイッと右腕を引っぱられ、ふらつきながら立ち上がる。
紗希の左手はしっかり、水木先生の腕を掴んでいた。
「先生も…! 早く…!!」
「え、ええ…」
ようやく正気に戻った先生と航平と並んで走る。
前には、香奈枝と悠二が背中を見せて、走っている。
紗希達は美術室にやってきた。
ここなら脱出できるという保障はないけれど、
はじめから開いていた窓なら、もしかしたら――。
そんな期待が彼女らを突き動かしたのだった。
航平は窓に手をかけた。