愛しのエリー【ホラー短編】
紗希はゴクッと息を飲みながら、見守っていた。
――ガラリ。
音を立てて、窓が開く。
その途端に、むわんとした生温かい空気が立ちこめた。
風が止まり、外の気温がさっきよりも上がってきているようだ。
窓が開いて、温かい空気を感じるということは、幽霊の呪縛から解かれたという
こと。
「よ、よかったぁ」
紗希はその場に座り込んだ。
ホッとして、体に力が入らない。
「ほら」
航平が手を差し出す。
「安心するのは、外に出てからだ」