愛しのエリー【ホラー短編】
机にカバンを置きながら、香奈枝の顔をマジマジと見た。
「…幽霊って、何の話?」
「愛しのエリーの幽霊が昨日出て、夜の見回りの警備員が見たんだって」
「愛しの、エリー?」
何のことかわからなくて、紗希は眉をひそめた。
「知らないの? うちの高校の七不思議のひとつ」
「し、知らない」
紗希は顔をひきつらせながら、首を横に振った。
実はあたし、怖い話が大の苦手!
怪談話なんて、聞かないようにしている。
七不思議だって、ろくに知らない。
だけど、あたしって恐がりなキャラではない。