愛しのエリー【ホラー短編】

「先生がね、探してるらしいの」



「せ、先生が…、探して…?」



紗希はガタガタと震えながら、問い返した。



目を動かして、航平と悠二を探す。


でも、見つからない。




どうして…?


航平くんはともかく、香奈枝が登校してるなら、悠二くんも来ているはずなのに
…。




ドクン、ドクンと心臓が激しく動く。


あぶら汗が額にじわっとにじむ。



「その先生ね、夜な夜な、自分の手を離した愛しく憎い教え子を探してるんだって」


香奈枝はニヤリと不気味に笑った。



その声は、香奈枝のものではなく、あの幽霊の声に聞こえた。






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