Dear...君へ
「じゃーハルさん携帯!」
「はぁ?」
「アドくらい教えてくださいよ~!」
「はぁ…もー勝手に入れとけ」
スカートのポケットからストラップの付いた携帯を抜き恭介に手渡した。

「中村さん…誰っすか?」
援交相手。
「…知らねー」
恭介に言えないけど。
「援交っすか?(笑)」
あーうん、そうそう。
「も~だったら悪い?ま、確かに処女じゃないけど」
恭介の表情が一瞬変わった。
そんなことあたしは気づかなかった。
「ハルさんのヴァージンは俺予約してたのに~ヒドいっすよ!
でも心は処女っすよね?(笑)」

あたしのキラキラデコレーションされた携帯は恭介の心みたいに太陽で輝いてた。

あたしの心は恭介の黒い携帯みたい。

シンプルに白くなくて汚い。





「…恭介」
「はい」


「あたし援交してんの。汚いよ」


並ぶ携帯電話。
汚れたあたしと輝いた恭介。
太陽はすべてを照らしていた。
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