求めて求められてクロスオーバー
「でも、大丈夫だよ」

「え? 何がよ?」

「あんたには愛してくれる人が居るからさ」

「もう、バカ! うるさいわよ……」


彼女は泣きながら

ボクの胸に

飛び込んできた。


それは、

彼女とボクの

最初で最後の

抱擁だった。



初めて抱きしめ合った

カモメしか居ない海辺の堤防。



でも、

激しく

とても激しく

抱きしめ合ったけれど



そのまま帰って行く二人……



ああ!

一瞬だけのクロス!


これ以上は、

これ以降は

けっして在り得ない

一瞬だけの

まばたきする間だけの

激しいクロス……



さようなら



バイバイ……



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