奇跡
「今日も大盛況だね〜!」


真秋が車の窓を開けながら呟いた。

開いた窓からふわりと潮の香りがする。

「本当に!暇人がたくさんいてあたしは嬉しいよ(笑)」

あたしたちはゆっくりと駐車場を一周まわってから


端っこのほうに車を停めた。


海に来ても砂浜には行かない。


砂浜に行ってもいちゃついてるカップルが盛ってるだけだし。

あたしたちはいつも車の中で人間観察をしていた。


ナンパ待ちしてる女の子やナンパしたり、女の子を探してる男の子。

みてると結構おもしろい。

わざとパッシングやクラクションを鳴らしたり、窓を開けて大音量の音楽を流したりするナンパ待ち。


スモークがかかった窓を半分開けてゆっくりと車を走らせ女の子を吟味する男の子。


ウーファーが効いた音楽でパラパラを踊るギャル。


みんながそれぞれにこの時間を過ごしていた。
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