恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
サーブ、すごいいい音。
フォームが豪快で。
遠くても見える、飛び散る汗。
シュワシュワ
胸が苦しい。
あ。
戻ってくる。
やばい。
息ができない。
「このラケット、打ちやすいな。ありがと!!」
さっきとは違う顔。
汗をかいた赤い顔で戻ってきたその人は、ラケットのガット部分で、私の頭をポンポンって叩いて、やんちゃな笑顔を見せた。
「飲み終わったか?このことは内緒だからな」
私の手から缶を奪ったその人は、同時に私のハートも奪ってしまった。