恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
秘密の特訓
―秘密の特訓―
ミーンミンミン
今日もジリジリと照らす太陽。
いつもより早く家を出た。
友達に怪しまれながらも、ひとり朝練を公言して。
首筋にしたたる汗。
うっすら浮かぶ雲。
サブバッグの中の凍ったペットボトルが背中を冷やす。
校庭では、陸上部がもう練習を始めていた。
「あっつ~」
いつもと同じ朝だけど、いつもと違う。
セミの鳴き声までもが心地よく感じる。
鉄平。
鉄平の存在が、この夏を変えてくれる。
昨日会ったばかりなのに、ずっと前から私の心の中にいるような気がする。
何も知らないのに、鉄平のことばかり考えている。