恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
テニスコートに到着した。
後輩も男子テニス部員もいないコート。
広く使えるのはいいけど、その分仕事も多い。
乾いた土のコートに水をまくのも3年生の仕事。
職員室にいるのかな、鉄平。
呼びに来てって言ってくれたけど、そんな勇気ないよぉ。
ホースを伸ばし、軽く水をまく。
夏の匂いがする。
大好きな夏。
これからもっと好きになる。
絶対に一生忘れない。
この夏のこと。
だって、こんなにもキラキラしているんだもん。
水の間から虹が見える。
太陽と水が一体化したような。
真上にホースの先を向け、頭から水を浴びた。