恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
私は10球ほど、サーブを打ち続けた。
「よし。ちょっとこっち来て」
日陰に移動した私達。
「投げたボールがちょっと流れる癖がある。こうして・・・・・・手のひらに乗せて、ゆっくりと」
鉄平は、私の後ろから私の手を持ち、ボールを投げるフリをした。
てか、近い!!
てか、体当たってる。
てかてか!!
嬉しい!!!
「おい、聞いてるか?そうして落ち着いて投げる練習してみろ。それと、打点が少し低いな。あとは、目線。サーブを打ったらすぐに次の予測をして構える。自分のサーブが入ったからってそれに見とれている時間はないぞ?」
「は、はい!!」
的確なアドバイス。
私の癖を完全に見抜いていた。
この人、ものすごくいいコーチだと思う。
でも、その前に“男の人”として意識してしまったから、どうしてもドキドキしちゃうんだよ。