恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
嬉しいけど、そんなにくっつかれると、倒れちゃうよ。
手、当たってるもん。
「お前が自分で思ってるほど、下手じゃない。仲良くみんなでテニスするのはいいことだけど、負けてたまるか!ってくらいの気持ちも必要だぞ?」
確かに私には、その気持ちが欠けていた。
みんな仲良く楽しく。
それが一番だと思っていた。
一番弱いチームでもいいやってあきらめていた部分もある。
「好きなんだろ?」
「へ?」
「テニス!!お前はテニスが好きなんだろ?」
意識しすぎたせいで、“好きなんだろ”って言われて、顔が熱くなってしまった。
「はい。好きです。テニスも、このテニス部も、みんなのことも」
そう言い終えた後に、心の中で付け足してみる。
“鉄平も好き”って。