恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
ライバル
―ライバル―
鉄平がコーチになってから1週間が過ぎた。
練習は相変わらずハードだったけど、誰も文句を言う部員はいなかった。
それは、ちゃんと“愛”が伝わっているからだと思う。
私達が汗をかいている時は、鉄平も汗をかいていた。
一緒になって球拾いをしてくれたり、遠くまで飛んだボールを捜してくれたり。
とにかく鉄平は手を抜かない人だった。
誰も口に出しては言わなかったけど、鉄平に恋心を抱きそうになっている人は絶対にいるはずだと思う。
だってさ。
こんなにかっこよくて、優しくて、テニスうまくて。
「おぉ~!お疲れさん。これ、差し入れだ」
人数分のアイスを買って来てくれたりする。