恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
先週まで泣いてばかりいた千里も、今は幸せそうな顔をしてサッカー部の日程表を見ている。
恋って不思議。
どうしてなんだろう。
まだわからない。
好きな人ができた友達はほとんど全員が、悩んで、泣いて、苦しんでいる。
でも、すぐに笑顔になったり、ドキドキして喜んだり。
そんな姿を見ていると、ちょっぴりうらやましいけど。
見上げた空には、雲ひとつない。
スーっと伸びた飛行機雲が綺麗だった。
夏。
大好きな夏。
でも私の思い出の中の夏は、ただ楽しいだけ。
みんなみたいに、恋してキュンとしたり、切なくて泣いちゃうような思い出は・・・・・・
ないんだよね。
ミーンミンミン
「おっはよ~!!」
「今日も暑いね」
暑さを倍増させるセミの鳴き声をかき消すかのように、他の仲間が大声を出して走ってきた。