恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「テニスは技術だけじゃだめなんだ。気持ちが大事。わかったか?」
「はい!!」
「あれ?なんだ?急に暗くなってきたな」
「あ、本当だ。雷鳴ってるかも」
ふたりで空を見上げた瞬間だった。
ポツリと頭に落ちた雨粒をきっかけに、どしゃぶりの雨が降ってきた。
「ボール拾わなきゃ」
ボールを拾いに行こうと思った私の腕を掴む。
「とりあえず、部室に避難しよう!」
腕、掴まれたままだよ。
鉄平。
苦しいよ。
嬉しいよ。
溶けちゃうよ。