恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-



「大学は楽しくないの?」



「楽しいけど。考えることが多すぎる。中学生の頃は、バカみたいに何も考えてなかったな、俺。ただ毎日テニスして、汗かいて、笑ってた気がする」




いつもの鉄平に戻ったようだ。


遠い目をした鉄平の横顔はとても綺麗だった。




「だからさ、お前ら見てると切なくなるよ。今だけなんだぞ?って思う。でも、本人達はそれに気付いていないんだ。俺自身だって気付いてなかった。大人になってから気付くんだな」




「何となくわかるかも。私も毎日、感じてるんです。この夏はもう戻らないんだなって。この仲間とテニスできるのも今だけなんだなって。でも、そう思えたのも鉄平が来てくれたから」






すらすらと言葉が出た。





「俺?本気で?」




「うん。鉄平が、最後の夏の目標を聞いてくれて、毎日真剣に教えてくれたから。みんなもそうだと思う。鉄平が来てから、やる気がすごいもん」





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