恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「中学生に戻れるなら・・・・・・凛に付き合ってって言っちゃうかもな」
真顔でそんなことを言うもんだから、私は何も反応できなかった。
「冗談だよ!ごめんごめん」
まだ動けない私。
だって、だって・・・・・・
「中学生同士なら、俺達付き合ってたかもしれないだろ?」
想像した。
テニス部の鉄平と、テニス部の私。
練習の後に待ち合わせて一緒に帰るんだ。
夕焼けに染まる鉄平の顔を見ながら、時々手をつないだりして。
いいな。
そういうの。
鉄平が中学生だったら、私も素直になれるのに。
でも、鉄平は大人。
私には手の届かない人。
「冗談だって!」
いくらそう言われても、ドキドキは止まらない。
想像しちゃったんだもん。
私と鉄平が付き合ってる姿を。