恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
鉄平は、頭に乗せていたタオルを首にかけた。
「確かに・・・・・・ だって、好きじゃないのに付き合っても楽しくない」
「変わらないでくれよ。凛は凛らしく、そのまま大人になれよ」
とても、穏やかな表情だった。
優しくて、包み込まれるような顔と声。
「は・・・・・・い」
「約束だからな」
「はい・・・・・・」
立ち上がった鉄平が私に近づいてくる。
動けない。
「約束の握手」
鉄平は右手を差し出した。
私はゆっくりと右手を鉄平に近づけた。
握手。
ゆっくりと握手をした。
その手が・・・・・・
引き寄せられて。
気がつくと、鉄平の胸の中にいた。