恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「またふたりきりか~」
ボールをラケットの上で弾ませながら鉄平が呟いた。
「私、参加するって言ってないのに」
「凛は、強制参加なの!!」
鉄平は、ラケットの上で弾ませていたボールを私に向かって飛ばす。
「あと1週間なんだから。もっとテニスを好きになって、高校行ってもテニス部入れよ」
「もちろん入ります。テニスは一生続けるもん」
鉄平は嬉しそうな顔をして、頷いた。
今日はバックハンドの練習を繰り返した。
鉄平は私の苦手をよく知っている。
私だけじゃなく、みんなの苦手な部分をちゃんと見つけて、そこを重点的に練習してくれる。
「また雨降るといけないから早めに終わらせようか」
1時間程で、居残りレッスンは終わった。
雨が降ればいいのに。
そう願ってしまう私がいた。