恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「雨、降らなかったな」
ボールを拾う私の横で鉄平はそう言って、空を見上げた。
「あと一週間と思うと、寂しいよ」
「私達の方が寂しいです」
「そう言ってもらえると嬉しいけどな。でも、俺の方が寂しい。また現実に戻らなきゃいけない」
まただ。
遠い目をした鉄平は、寂しそうにため息をついた。
「大学、頑張ってね。私には全然わからない世界だけど、鉄平なら大丈夫って思う。就職とかも私にはわからないけど、鉄平ならどんな職業でもうまく行くと思う」
子供にこんなことを言われても仕方がないよね。
でも、元気になって欲しかった。
鉄平はたくさん元気をくれたから。
「凛、お前・・・・・・どんだけ優しいんだよ」
頭に手を乗せられたから、ふと見上げるとそこには切ない顔をした鉄平がいた。