恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「俺、この夏のこと絶対忘れないから。みんなも忘れないでくれよ」
サンドイッチを頬張った鉄平が、恥ずかしそうに言った。
忘れるわけないよ、とみんなも言った。
私は、何も言えないままただ鉄平を見つめていた。
目に焼き付けた。
もう会えないかもしれない。
「午後からは最後の特訓だからな」
鉄平の声を忘れないように、何度も何度もリピートした。
私は中学生で。
鉄平は大学生で。
ふたりには見えない壁がたくさんあって、この気持ちを伝えることも許されないかもしれない。
でも、確かに私は恋をした。
これは消えない。
鉄平、大好き。