恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「凛、どうした?」
デザートのプリンを食べながら、鉄平が私に声をかけた。
「何でも・・・・・・ないです」
何でもないと言いながら、私の瞳の中には涙が溢れていた。
みんな理由はわかっていた。
知らないのは鉄平だけ。
「凛は、寂しいんだよね~。鉄平ちゃんがいなくなっちゃうから」
敦子が冗談っぽく誤魔化してくれた。
「私も寂しいよ~」
有美達も続く。
鉄平は切ない顔をしながら、プリンを食べ終えた。
午後の練習は、涙をこらえるのに必死だった。
最後だって思うと、一瞬一瞬がとても大切に思えた。
戻らない。
戻ることはないんだ。