恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「どちら様ですか?」
「ははは。俺は、今日からコーチを頼まれている宮崎鉄平。よろしくな」
立ち上がろうとする私の頭を押さえたその人は、手に持っていたジュースを私のお腹に乗せた。
「まだ先生も来ないから休憩しとけ。それ、やるよ」
「いいんですか?」
「ああ、その代わりちょっとラケット貸して。このコート久しぶりだからちょっと、腕ならし」
やっとまともに顔が見えた。
まぶしくてはっきり見えなかった。
白いポロシャツに、紺色のハーフパンツ。
メッシュのキャップ。
真っ赤なリストバンド。
真っ黒な肌。
真っ白な歯。
低い声。