【花集】水たまりに映る花火
「いらっしゃいませ、こんばんは」


花火大会の日。


その日も奏大君は宮部さんと一緒にやってきた。


奏大君は、いつもと同じ格好だったけれど、宮部さんは朝顔の柄がついた、可愛らしい浴衣を着ていた。

カランコロンと店内に響く下駄の音が、とても煩わしく感じた。


「ねえ、奏大。花火、買ってこうよ。今度は二人でしよう」


「ああ、うん・・・・・・」




二人で行ったんだ・・・花火大会・・・・・・





「ありがとうございます、またお越し下さいませ」





涙を堪えることが出来なかった。


「もう、来ないでよ・・・・・・!」







無理をしてでも行けば良かった。


素直に自分の気持ちを伝えれば良かった。










・・・・・・後悔したって、もう遅い。


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