【花集】水たまりに映る花火
「ねえ、奏大君」


「ん?何?」


「あの、ね・・・今年も宮部さんと一緒に花火に行くの?」


「あー・・・うん。そのつもり」


奏大君は少し戸惑いながら答えて、財布の中から500円取り出した。


「煙草・・・買うの?」


「え?」


「500円お預かり致します」


私は奏大君から500円を受け取り、レジに打ち込んだ。


「私なら、絶対に煙草吸わないよ?」


私は奏大君の目を見ながら、お釣りを手渡した。


「みずたまりさん・・・・・・」


「ありがとうございます、またお越し下さいませ」





自動のドアが開く音がするまで、私は顔をあげることが出来なかった。


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