【花集】水たまりに映る花火
奏大君は自転車の鍵を受け取って、鍵をはずすとTシャツの袖で、ゴシゴシと雨水で濡れた荷台を拭った。


「服、汚れちゃうよ?」


「いいの!みずたまりさんが汚れるほうが俺は嫌だから」


「なんで、今更・・・そんな言葉・・・・・・」


「みずたまりさん・・・・・・」


奏大君は、私の頬に伝う涙に優しく触れた。


「乗って。一緒に行こう」


「うん・・・・・・」


私は奏大君に促されて、自転車の荷台に乗った。



自転車は雨上がりの生ぬるい風を切りながら進んだ。




涙が少しずつ乾いて、奏大君の体温が自分に重なっていくのが分かった。


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