【花集】水たまりに映る花火
自転車が到着した場所は大学の体育館前だった。


「こんなところで何するの」


「んー。花火大会」


奏大君は袋の中から線香花火を取り出して、ニコリと笑った。


「線香花火で花火大会?」


「いいから、いいから」


奏大君は線香花火を優しく一本だけ抜き取り、私に手渡した。


「ここ、しゃがんで」


奏大君はそう言って、私を水たまりの側に座らせた。


「この水たまりの上で線香花火するんだ」


「水たまりの上で?」


「うん」





ジュッ






そう言って奏大君は、私の線香花火に火をつけた。


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