【花集】水たまりに映る花火
居眠りをしていて、全く授業を聞いていなかった講義のノートを必死でとっていた時に、彼に話しかけられた。


「同じ大学だったんだね。講義同じってことは、みずたまりさんも教育学部?」


「はい」


「そうなんだ。奇遇だね」


彼は、ほわりと優しく微笑んだ。


いつもと違う服、違う場所。

なんだかとても恥ずかしかった。


心臓がバクンと鳴って、顔が火照っていくのが分かった。



チャンスだと思った。

彼ともっと近づきたい。


だから私は、必死で彼に名前を聞いたんだ。


「あの、名前教えて下さい!」


「奏大(そうた)。じゃ、友達待ってるから。またね!みずたまりさん」



奇跡だと思った。

告白して、彼の隣に・・・彼女になるんだって、力強く誓った。


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