【花集】水たまりに映る花火
奏大君はハンドルと一緒に、私の手も握っていたから・・・・・・。


「奏大・・・君?」


「あ、ごめん」


「ううん・・・・・・」


さっきまでペットボトルを持っていたせいだろう。

私の手がしっとりと濡れた。


「じゃあ、その・・・お願いします」


「あ、うん」


私は自転車から降りて、奏大君に渡した。


「じゃあ、がっちり捕まってね。落ちないように」


「うん」


私は奏大君を包み込むように、キュっと体をくっつけた。


「汗臭くない?俺さっきまで、めっちゃ動いてたし」


「そんなこと、ないよ」


「うん・・・じゃあ、いこっか」


「うん」




夏も近づく夜の風を浴びながら、奏大君と家路についた。



生ぬるい風を浴びた奏大君の髪の毛が、乾いてふわふわと揺れた。







愛おしいと思った。


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