【花集】水たまりに映る花火
それからまもなく、大学は夏休みに入った。


夏休み中はバスケ部の練習が午前ということもあって、奏大君に会えない日々が続いた。


「バイト、つまらないな」


商品の補充をしながら、ため息をつく。



その時、ドアが開いて奏大君の姿が見えた。


「いらっしゃいませ、こんばんは・・・・・・」


いつもなら元気よくかける挨拶


だけど、私の声は吸い込まれるように消え入った。






奏大君は一人じゃなかった。

奏大君の腕に絡みつく女の人。

嬉しそうに微笑む女の人・・・・・・。

見覚えがあった。

バスケ部のマネージャーの宮部さんだ。


奏大君はいつものように、スポーツドリンクを私に手渡す。


「お願いします」


「一点で147円頂戴致します」


宮部さんがジッと私を睨んでいるのが分かった。




出来ない・・・楽しみにしていた奏大君との会話。



それが悲しくて、私の胸はギュウっと締め付けられた。


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