【短編】生チョコ

ポスター

誘われたのと同時にうどんが運ばれてきて、返事をしなくて済んだ。

温かいうどんを胃の中に流し込むと、張り詰めていた肩の力が少しだけ抜けてくる。

沙理奈は音をたてたくないのか、汁をはねさせたくないのか、ぎこちなくうどんをすすっている。

一緒に旅行に行ったら無事帰って来れるだろうか。

壁にはポスターが貼られている。水滴だらけのグラスに注がれたビール。

グラスを持つグラビアアイドルの黄色いビキニが眩しい。めまいがしそうだ。
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