【短編】生チョコ
慎也と優が楽しそうに話しているのを目撃したのは3日前だ。

ほとんどの生徒が同じ小学校出身なので、男女がふざけあうことも珍しくなかった。

こんな感じだったので、付き合ったりなんていうのはもっと先のことだと思っていた。

慎也は笑っていた。

日焼けして黒くなった右の額を何度も掻いていた。

「慎也」と言ったのは、まちがいなく優だ。

「ドンマイです、ナイスです。」部活の度に聞くあの声を間違えたりはしない。
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