【短編】生チョコ
思っていた以上に点差がついた。優に10点差をつけて私は勝っていた。

得点のほとんどが優のミスだった。

スマッシュを打っても、ドロップを打っても、あとちょっとのところでネットにかけてしまう。

私はどうしてもスマッシュが決めたかった。

誰もが認めるコースへ。速く。強く。

また、ゆるい軌道を描いてシャトルが落ちてきた。私は肩の力を抜いてラケットを振りぬく。

ラインギリギリに決まったはずだった。わずかにコートを外れたシャトルが横たわる。

「イン!」

審判をかってでてくれた後輩の判定はインだった。悔しそうに笑う優のラケットがシャトルをすくう。

私のもとへふわりと真っ白なシャトルが舞い降りてきた。
< 22 / 30 >

この作品をシェア

pagetop