【短編】生チョコ
あの日以来、私は部活に行かなくなった。

部活どころか、この中学校さえも辞めたかった。

この先、この町で生活していくのは苦しいだろう。

卒業生の9割以上が進む田舎の高校じゃなくて、もっと遠く、もっと遠くの、だれも知り合いのいない高校に行きたかった。

県庁所在地の高校に行くには、少し成績が足りなかった。

私が塾に通いだしたのと反対に、塾だからと休むことの多かった1年生が、毎日部活に行っている。

優と私。

2人が抜けたことで、新しい輪が生まれようとしていた。
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