GSG
気がついたらそこは病院だった。
「大丈夫…?」
優しそうなお医者さんが話しかけてくれた。
「…」
声が出ない。私はベッドの近くのテーブルにあった紙とペンを勝手に使って、こう書いた。
<大丈夫です。ありがとうございます!…でも先生、声がでない…>
診断の結果、ストレスとショックによる、"失声症"であることが判明した。
今だに治っていない私は破ってしまった約束とひかりの姿を思い出す度に自ら自傷行為をしてしまうようになり、手首に包帯を巻いたまま再び病院ベッドで暮らすようになった。
ひかりの死因は自殺による大量出血とされた。転んでしまったあの場所の血痕も綺麗になくなっているという…。私は、どうしても納得がいかなかった。
<ひかりは自殺なんてしようと思うような子じゃないよ…。いつもみんなからちやほやされて人気者で…。そんなひかりが…自殺…自殺…。真実を知らせなくていいの?!自殺なんかじゃないよ!!幽霊のせいなのに…どうして…>
涙ぐむ私は、そんな独り言を書いた紙をぐしゃぐしゃにしてごみ箱に投げ入れた。
あ…これ、そういえばひかりのピンク色のシャーペンと同じだ…。ひかり1番のお気に入りで、いつも使ってたっけな。