帰って来たお母さん
病院にて
 搬送先はF大学付属病院。


 検査はとても長く感じられた。


 夜遅くになって、親戚の叔父さんが顔を見せてもらった。


 開口一番…


「お母さんの様子は、どうだね?」と質問して来た。

「今ずっと、検査中です」


 私は搬送されて来るまでの状況を詳しく説明した。


 詳しい状況を知って、叔父さんは心穏やかではなかった。


「政行は? 政行はどうしたんだね?」


 政行とは、私のお父さんの名前だ。


「今、自宅にいます」


「何で? 一緒に来なかったの?」


「ハァ…、お前が一緒に行けって言われましたから」


「ったくぅ、大事な時に」


 それから30分ぐらいして、私たちは担当医に呼ばれた。


 小会議室に通された私と叔父さん。


「ええーっと、ご家族の方は?」


 担当医が家族のチェックをする。


「私です」と、手を挙げる私。


「あなただけですか? 他の人は?」


「父がいるのですが、ここには来ていません」

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