ジャクソンとマイケル
 事実を知るオイラだって、その可憐さにノックアウトだ。だもんだから、サクラのことを露とも疑っていないユータにしてみればそれ以上の効果をあげている。

 抱きかかえていたマイケルをそれでも丁寧に床に降ろすと、すぐさまサクラの元へと向かいその手を握った。

「サクラちゃん。そんなに自分を責めないで。マイケルもサクラちゃんのことが大好きで舞い上がってたんだよ」

「マイケル……も?」

「えっ?」

「だから、マイケルもって言った?」

 ユータは、サクラの言わんとしていることが本当にわからないみたいでキョトンとした顔をしている。ここで、ユータがその意味に気づいたら何だかやばそうな気がする。

 どうにかして、二人の気を逸らすことができないものか。

「クゥーン」

「マイケル!」

 ナイスタイミングだマイケル!

 どうやら、やっとマイケルの意識が戻ったみたいで、一瞬にしてユータの意識はそちらへと向けられてしまった。

 サクラはどうかと見れば、ユータがこちらを見ていないのをいいことに明らかに不満そうな顔をしている。

 しかし、ユータが嬉しそうな顔で振り返った瞬間には、自分も心から安心したとでも言うような笑顔を顔に張り付かせていた。

 女は魔性だな。でも、そこがまたいいんだけどな。

 とりあえず、今日のところはオイラもマイケルも引き分けってところだろう。次回こそはオイラがサクラのことを落としてやるぜ。
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