ジャクソンとマイケル
 あぁ、マイケル。お前も懲りないヤツだな。少々、いやかなり気の毒に思いながらもまたとないチャンス到来にオイラの士気もあがる。

「よし、今がチャンスだ! 打ち合わせどおりに、せーの!」

 一斉に一箇所に集まった虫の集団が、ビニールシートに黒い影を作る。

 サクラの、ギョッとした顔が目に入った。

 まあ、今はまだ集まっただけだからそう思うのも無理はない。真骨頂はここからだ。ということで……。

「はい、じゃあフォーメーション1!」

 虫たちの集団が動いてアルファベッドのアイの文字を形作る。サクラの表情はまだまだ固まったままだ。

 そりゃそうか、ただ単に一本の棒にしか見えないからな。でも、きっと次のフォーメーションを見れば歓喜の渦に飲み込まれること請け合いだ。

「じゃあ、次。フォーメーション2!」

 また、虫たちがゴソゴソと動き出してその形を変化させていく。次に出てきたのは、ハート型。

 うん、なかなかいい出来だ。これなら、サクラも感動してくれるだろう。ほら、サクラの身体がわなわなと震えている。

 よし、ここで留めの一発だ。
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