ジャクソンとマイケル
 吹きかけられた虫たちは堪ったもんじゃない。すぐに散り散りに分かれると、銘々悪態をつきながらいずこかへと去っていった。

 危うくオイラにも吹きかかりそうだったが、サクラの体の上にいたため災難は免れた。それにしても、ホント、サクラって容赦ないな。

 まっ、そんなところがまた可愛いなんて思えたりするんだけどな。とりあえず、これできっとサクラにオイラのことを印象付けることに成功したはずだ。

後は、サクラがオイラを受け入れてくれるのみ。

 今日のところは、ここまででよしとしておこう。

 そういえば、マイケルってどうしたんだ? オイラの疑問に応えるかのように、よろよろとした足取りのマイケルがオイラたちのところまで戻ってきた。

「マイケル、どこに行ってたんだ?」

 ユータは、相変わらず暢気なものだ。だけど、もっとどうにかしなくちゃいけないのはマイケルかもしれない。

「サクラン、もうボクチンのこと好きになったかもだワン」

 だから、どこからくるんだその自信。そして、そう思う経過がどこにあったのかだ。さっぱりわからん。

「マイケル。一応言わせてもらうが、どちらかと言うとお前、サクラに嫌われてるぞ」

 オイラの言葉に、マイケルは頭を思いっきり振って抵抗を示した。

今は、サクラの上にいるからいいものの、いつもの場所にいたのなら間違いなく吹き飛ばされていたところだろう。

「そんなことないワン! サクランはボクチンのことが好きだワン! じゃなかったら、こんなにスキンシップしてくれるはずないワン!」
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