ジャクソンとマイケル
 なんの躊躇もなくマイケルはオイラのアイディアに乗って来た。まあ、マイケルのことだからオイラのこの深い思惑なんぞ思いもつかないだろうがな。

 それでもなんでも、マイケルの目を覚まさせるのが最優先事項だ。もう一度リビングに視線を送れば、ユータは気持ち良さそうにソファの上で夢の世界へと行っている。今がチャンスだ。

「よし、じゃあすぐに行くぞ!」

「わかったワン!」

 そう言うなりいきなり走り出すマイケル。考えなしもいいところだ。案の定、つながれていた鎖がピーンっと張って自分で自分の首を絞めている。

「グヘッ」

 喉がつぶれたような声を出しながらマイケルが倒れる。オイラは、とりあえず振り落とされないようにしっかりと毛に捕まったまま、深いため息をつくのだった。

「あのなー、マイケル。ちょっとは考えてから行動しろよ」

「ゴメンだワン……」

 弱々しい声に思わず情が沸く。とはいえ、オイラが鎖を解くことは出来ない。まあ、その点は心配ないんだけどな。

マイケルは、今までに何度か遊びで鎖につながれている首輪ごとすっぽりと抜け出したことがあるからだ。

「マイケル。とりあえず、首輪を抜くのが先だ」

「わかったワン」
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