ジャクソンとマイケル
 オイラの言葉なんか無視らしい。軽やかなステップを踏んだかと思うと、再び一目散に走り出した。

もう、こうなってしまえばオイラがどうすることも出来ない。後は、マイケルが止るまで待つしかなかった。

 でも、その待つ時間はほんの数十秒ってところで終わった。マイケルが急ブレーキをかけたもんだから、慣性の法則に逆らうことが出来ずに思わず落っこちそうになる。

「おい、マイケル! いきなりなんだよ」

「サクラン!」

 マイケルの一声で、何でいきなり走り出したのかがわかった。どうやら、奇跡が起こったらしい。

 マイケルの目と鼻の先に確かに愛しのサクラが驚いた顔でこちらを見たまま固まっていた。

サクラは、お友達と一緒にショッピング中ってところらしい。大きな袋をいくつか腕に提げている。

 隣にいるお友達も、驚いた顔でサクラとマイケルを交互に見ていた。まあ、お友達も結構上玉だけど、やっぱりサクラには敵わないな。

「マイケル?」

 サクラの桜色に色づく可愛らしい唇から驚きと疑惑の混じったような声が漏れる。どうやら、目の前にいるのが本当にマイケルなのか疑っているようだ。

 マイケルは、そんなことにはお構いなしに千切れんばかりに尻尾をフリフリしている。
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