ジャクソンとマイケル
「ほら、やっぱり既成事実を作らなくっちゃね」

「やーだ、サクラったらー」

 そうは言うお友達だが、どこかしら楽しんでいる節もある。女の子の考えていることはわからん。

「でもでもー、そうなるのも時間の問題って感じなんでしょー」

「まーねー」

「やっぱり、サクラってすごいねー」

 その言葉に気を良くしたのか、サクラの顔に笑顔が広がる。不敵な笑みではあったが。

それはそれで、何とも魅力的だ。こういうのを小悪魔とでもいうのだろうか? ほら、見ろ。

マイケルなんて涎をダラダラ垂らしながらそんなサクラの顔に見惚れてる。

「このままうまくいけば、サクラは玉の輿かー。いいなー。やっぱり、結婚するなら金持ちの男よねー。しかも、顔がよければなおよし。その点、ユータ君は両方オッケーだよね」

「まあねー」

「しかも、性格までいいときたら完璧じゃん」

 話がどんどん別の方向に向かっていっているようだ。

マイケルはここから動く気配はないから、とりあえずまだしばらくはこのガールズトークでも聞いとくか。何かの役に立つかもしれないしな。

「性格ねー」

「何々? 何か問題でも?」

「なんていうかー。イマイチ物足りないのよねー」

「もー、サクラ。それは贅沢って言うものよ。ユータ君狙ってる女の子って結構いるんだから。でも、サクラが側にいるから誰も手出しできないんじゃん」

「えー、それってアタシのせいなのー? 好きならどんどんアタックすればいいだけのことでしょー?」
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