ジャクソンとマイケル
「……それもそうかも」

「でしょでしょ? もしサクラが嫌だって言うんなら、私連れて行ってあげるよー」

 そんなお友達の申し出がまるで聞こえてなかったように、サクラはマイケルの頭を容赦なくひっぱ叩いた。

「痛いワン!」

 手加減なしの一撃に、さすがのマイケルも激昂か? と思ったが、サクラの顔を見たとたん、またまた締りのない顔に逆戻り。これじゃ、先が思いやられるな。

「ほら、マイケル。帰るよ」

 サクラに名前を呼ばれてさらに上機嫌になったマイケルは、ピョンと立ち上がるとサクラの足元に擦り寄った。

サクラの顔を見れば、さっき言ってた「あまり好きじゃない」という言葉を裏付けるように、あまりにも苦々しい表情が浮かんでいた。

 サクラはサクラなりに努力してたってことなのか? 苦手なマイケルにご機嫌取ってまでユータをゲットしたいもんかねー。女の子の考えることはわからないもんだ。

 それにしても、マイケルはサクラのこの顔を見ても何とも思わないもんなのか? マイケルの鈍感さ加減にもほとほと呆れるってもんだ。

 サクラは、マイケルを促して歩き出した。当然、お友達は置き去りで。しかも、さよならの挨拶もなしでか? 

後ろを振り返って見れば、お友達はお友達でまるで今までずっと一人だったとでも言うようにこちらに目も向けずに携帯電話で楽しげに話している。

いや待てよ。単に、サクラが歩き出したことに気づいていないだけか?

 と思っていたら、本当に挨拶すらせずにこちらに背中を向けて歩き出してしまった。いやはや、やはり女子の考えることはさっぱりわかりません。

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