ジャクソンとマイケル
「ねぇ、ユータ君。私、何だかちょっと今日のマイケル怖い」

 いかにもか弱そうに少し声まで震わせながらユータの体に擦り寄っている。おいおい、ベイべー。そりゃ、ないぜ。

オイラという男がいながら、そんなビビリを頼るなんて。って、そんな悠長なこと言ってらんないぞ。

「そうだね、今日のマイケルちょっとおかしいね」

 ユータは、マイケルから目を逸らさずにサクラにそう言った。その瞳には、どこか寂しげな色すら見える。ちょっとだけ、オイラの良心がチクンといったのはなかったことにしよう。

「おい、マイケル。落ち着け」

「何でだワン! 落ち着いてなんていられるわけないワン!」

「だーかーらー。それがますます二人の距離を近づけちまうんだって」

「ん? そうなのかワン?」

「そうなの」

 ようやく落ち着いたのか、マイケルはキョトンとした顔のままユータとサクラの顔を交互に見ている。

「マイケル」
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