ジャクソンとマイケル

　その疑問はすぐにわかった。パタパタとスリッパの音がこちらのほうに近づいてきている。どうやら、やっと二人が戻ってきたようだ。

　しかし、オイラの懸念は的中したようだ。リビングに入ってきたときのサクラの顔。今まで見たことないほど満ち足りた顔をしていた。さっぱりしたとも言えるかも。

　それに引き換え、ユータはゆでだこのような顔のままサクラの後ろから現れた。

「あっ、サクランが戻ってきた！」

　マイケルはまったく二人の変化に気づいてないな。嬉しそうな声を上げると、一目散にサクラの元へと馳せ参じてる。

「あ、あの。サクラちゃん。ちょっと待ってて。何か飲み物でも持ってくるから」

「うん」

　ユータが慌ててリビングから出て行く。どうせさっきまで二人っきりだったんだから、今更照れることもなかろうに。

　まあ、でも今はそれは置いとこう。それよりも、もう待ってられない。ここで一発決めてやらなくては！　

もう今更、ファーストキッスなどとは言ってられない。キッスはキッスだ。なんだって構わない！

「おい、マイケル！」

「なんだワン？」

「オイラは、ここで勝負に出るぞ！」

「どうするんだワン？」

「捨て身作戦だ。とにかく、サクラの唇めがけて飛びついてやる。だから、マイケル。もっと、サクラに近づけ」

「サクランに近づくのはいいワン。でも、サクランの唇を奪われるのをみすみす見過ごすことなんて出来ないワン！」