好きなもんは好き<短>
ある日の、気落ちしたまま、委員会の仕事のせいでいつもより大分遅い下校。
『花高さん…?』
「えっ?」
後ろから声をかけられた。
確かこの人は……
隣のクラスの清水君だっけ…?
天君と同じサッカー部だったはず。
部活終わりなんだろう。
サッカー部統一のジャージは、私の頭に天君を連想させる。
「どうしたの?」
引き止めた割りには話しだそうとしない清水君に疑問を感じる。
『んとさ、この頃、天と…』
清水君の口から出た“天”に勝手に反応してしまう。
「天君が…何?」
冷静を保つ私だけど、内心は何を言われるのかビクビクしてる。
あぁ、もうチキン。
『いや…この頃一緒にいる所みないし………。
もしもう何もないなら……』
清水君が言いたかったのは、天君のことじゃないんだ。
『俺と付き合ってくれないかな』
つまり、私メインなのね。
告白されてるって言うのに、意外と驚きはなくて。
あ、決して慣れてるとかではなくて。
「ごめんね…」
私が好きなのは天君だけ。
答えが明白過ぎるから。