愛音-あいおと･短編
二人
「ねえ、彼氏いるの?」
「うん。一応。」
二人の初めての会話はそんな会話で始まった
。
「名前は?」「遠藤早紀。」彼女は優しく微笑みながら言った。

「俺は･･･」

俺は大手医療機器メーカーに勤める24歳の彼女ありの「川辺良平」

ちなみに早紀は納品先で知り合った病院の看護師だった。彼女がいるにも関わらず、"いいかげん男"の代表、良平が強引に誘って今日が実現した。

「ふーん、彼氏いるんだ。まっ気にしないで、俺も彼女いるから･･。」

「えっ！･･･フフフっ」
早紀は良平のはっきりした性格に自然と次第に緊張がほどけ始めた。

最初の二人はそんな感じの気さくなものだった。それから数回、デートらしきものを重ねたが、殆どが早紀の彼氏の愚痴を聞かされるものだった。
「へー、大変なんだな」
良平はいつも半分愚図りながら話す早紀を、面倒くさそうに軽い言葉でかわしていた。

でも、次第に愛おしさを感じていた。早紀も何だかんだいっても相手してくれる良平に心を開いていった。

お互い彼氏彼女がいながら、早紀は良平と合っては彼氏の愚痴を言う、良平も彼女と会えない時、早紀に合って気持ちを紛らわせる。

そんな二人の関係が数ヶ月続いた。･･･そんなある冬の夜。
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表紙・目次

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