愛音-あいおと・短編
「今日、飲み会で遅くなるから。」

早紀から、そんな連絡が度々入った。

「さあ、舞。いっしょにお風呂入ろ〜。」

最近は舞と過ごすこんな時があった。

「ただいま。」

飲み会から帰る早紀はいつも機嫌良く、いつもなら黙って先に寝てしまうのに、酔ってる性か、ああだこうだと他愛もない会話をしだす。

「ったく、何時だと思ってんだ。」

そんな時はいつも良平はそんな言葉を残し、眠りについた。

そんな生活が続いたある日、いつものように会社の社員食堂でいつもの定食を食べてると、同僚の一人がやってきて、

「川辺、ここいいか?」

そう言って目の前に座った。

「よう、どうだ最近。相変わらず成績すごいなお前!」

口一杯にご飯をほおばりながらいった。

「そう言えば、この間の夜、早紀ちゃん見たぞ。なんか男といたぞ、大丈夫かお前んとこ?なんてね、うちのと違って早紀ちゃんは大丈夫か。それよりさ…」

良平の耳には後半の話は聞こえてなかった。

(早紀が男と・・・・・)

良平は思わずはしを止め、ただ相手を見つめてしまった。

「おい!良平聞いてんのか?なあ、今度俺にもよ客紹介してくれよ。」
「ああ」

良平はそう、呟くようにいい残すと、途中の定食を片付け、足早にに立ち去った。

(早紀が浮気)良平の頭には、その言葉がただ漠然と張り付いていた。
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