愛音-あいおと･短編
「ああ、今日は寒いし疲れたし･･･」

良平は一人寂しいベッドに不格好なハムスターのように潜り込んだ。

外は静かに雪が降り始めたようだ。


「トントン！トントン！」誰かが良平の部屋のドアをノックした。

「えー。誰だよこんな夜中に」ふと時計をみると夜中の３時だった。

良平はホラー映画のようにベッドから這い出し、ドアへと向かった。

「誰だよ？」半ば切れながらぶっきらぼうに言った。

「私、早紀」･･･

良平は前カノとばかり思っていたので一気に目が覚めた。そして、ゆっくりドアを開け、

「どどうした？」

そこに立っていたのは泣き腫らした顔をし静かに震える早紀だった。

「入れて、中にいれて」それは明らかにいつもと違う早紀だった。

「だから、どうしたんだよ。」

「彼氏とケンカして･･」
そういうと早紀は外の雪のように(泣)

「おいっ！だから俺んとこきたのかよ。帰れよ！いいか、こんな夜中に男のとこ来るのってどういい事かわかってるのか？帰れ！彼氏とケンカしたからって、俺はお前のそんな便利なもんじゃねえぞ！」

いつもの良平ならそんな女の子がきたら、どうぞどうぞと間違いなく喜んだが、なぜか今日は早紀に向かってそう叫ぶと思いっ切りドアを閉めた。
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表紙・目次

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